お迎えの時間
普段、自転車で来ている子が、その日はお母さんに車で送ってもらっていた。
…
授業が終わって、まだ迎えが来ていないので、教室で待っていればいいよと、生徒に伝える。
その日最後の授業だったので迎えが来たら、後片付けして私も帰るつもり。
…
まだ来ない。ホワイトボード使っていいよと言うと、「絵しりとり」をしよう!と言ってくる。
え、今から…?
まあ…いいか。
リンゴの絵を描いてみた。
すかさず、生徒が黒い点々を書き始める。ゴマか…。
私「何を描いたか言っては駄目なんだっけ?」
生徒「駄目です。」
今度は、マスクの絵を描いてみた。
生徒「えーと、じゃあ、ク。ク。クは…」
…それは言ってもいいのか!
クリ、リス、スイカ…と進みます。
私「お迎えちょっと遅くない?連絡してみようか?」
生徒「買い物に行ってる。お母さんは買い物はいつも時間がかかる。2時間くらい!」
えぇぇ…
1時間授業だから、さらに1時間待ち…?
「おばあちゃんはもっと遅い。3時間かかる!」
…ふーん。そうですか…。
カニ、2位、イス、スマイル、ルービックキューブ、ブタ、太陽…
生徒「えーと、ウ。ウ…」
ウで、えらく悩んでいる。
生徒「どうしても下ネタしか浮かばないけどいい?」
私「いや、色々あるやん。動物とか、食べ物とか。」
下ネタって…おそらくアレでしょ。それって絵に描いても二通りの読み方が出来てしまうと思うけど…。ウン…。
生徒がしぶしぶ耳の長い動物の絵を描き始めたとき、お迎えがきた。
生徒の母「〇〇帰るよ! 先生遅くなってすみません。」
いや、聞いていたより30分程早かったよと、心の中で思った。
生徒「まだ、あとちょっとだから。」
生徒の母「早くしなさい!」
早く終わらせるために、生徒が描き終わる前に先に、丸を描いて、その横に「ぎんなん」と書いた。
言ってはいけないけど、文字を書いては駄目とは言ってなかったし。
ということで、無事終わりました。
もし、おばあさんの送り迎えだったら、要注意だなと思った。
おわり。